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子供の本・絵本

2015年10月25日 (日)

「こどもの本」10月号にエッセイ「きんぎょが にげた」を発表

   お知らせが遅れましたが、日本児童図書出版協会から発行されている月刊誌「こどもの本」10月号に、エッセイを執筆しました。

  テーマは、心にのこる一冊について。娘に読み聞かせた五味太郎さんの絵本『きんぎょが にげた』にまつわる思い出を書きました。

  絵本をひもとくと、当時の思い出、柔らかな時間が鮮やかに蘇ります。

  書店などで見ることができるかと思います。

  どうぞ宜しくお願い致します。

    月刊「こどもの本」HP→www.kodomo.gr.jp/kodomonohon

2013年11月21日 (木)

来春出版予定、福音館月刊絵本 こどものとも0・1・2『ふわふわ ふー』

 ようやく皆さんにお知らせできる日がやってきました。

 初めてテキストを手掛けた絵本が、2014年、春、出版予定です。

 ぐりとぐらや、魔女の宅急便シリーズでおなじみの、福音館書店から発刊されている、月刊絵本シリーズのひとつ、赤ちゃんへ語りかける絵本、こどものとも0・1・2の5月号にラインナップされます。タイトルは、『ふわふわ ふー』。絵は、三溝美知子さんです。

 

 柔らかな命へそっとことばを届けたい、優しさとぬくもりあふれる絵本として、もうすぐ産声を上げます。

 

 たくさんの手に届けられますように。

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福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp/

 

 

2011年12月 5日 (月)

『本へのとびら ─岩波少年文庫を語る』 宮崎 駿

 映画監督、宮崎駿の著書、『本へのとびら ─岩波少年文庫を語る』(岩波新書)を読んだ。巻頭には、監督自身が選んだ岩波少年文庫50冊についての短い紹介文が、本の写真とともに掲載されている。

 数々の優れたアニメーションを生み出してきた、監督の映像を思い浮かべながら、その創造の源泉には、これらの児童文学の世界が基盤となっていることに気づかされる。

 印象に残った文章がある。

 「…要するに児童文学というのは、「どうにもならない、これが人間という存在だ」という、人間の存在に対する厳格で批判的な文学とはちがって、「生まれてきてよかったんだ」というものなんです。生きててよかったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います…」

 生、という輝きの深い肯定を子供たちの心に届ける。

 物語の背後に、生きる喜びがみなぎる。

 ああ、確かに、子供のころ読んだ物語は、どこか懐かしく、あたたかく、未知への冒険心をくすぐり、大地性に満ちたおおらかさがあったことを思い起こす。

 「3月11日のあとに」という最後の章には、震災前後の日本の在り方に触れていて、考えさせられる。「大量消費文明の終わりの第一段階に入った」との言説も深く頷かざるを得ない。

 今、この時代に、ファンタジーをつくれない、という宮崎駿監督がこれからどんな映画を切り開いていくのか。

 これからの未来を生きる子供たちに届ける、「生まれてきてよかった」と思える映画や文学をどう産み出していったら良いのか。

 私自身の課題としても、何度も再読したい一冊である。

2011年4月 1日 (金)

あたりまえの挨拶のことば

 「おはよう」

 「こんにちは」

 「ありがとう」

 「おやすみなさい」

 

 あたりまえの挨拶のことばが、本当に優しく響く、今。

 絵本『どろんこハリー』や『エルマーの冒険』の翻訳で知られる渡辺茂男著『心に緑の種をまく 絵本の楽しみ』(新潮社)に書かれたことばを深くかみしめています。

 あたりまえのことですが、あたりまえの挨拶の言葉が私たちの日々の暮らしを、とても温かく安らかにしています。初めて訪れた町で、見知らぬ人に「こんにちは」と挨拶されると、その町に親しみを感じ、「こんにちは」と挨拶を返すと、その町の人々に対して、自分の心が開かれた気がします。

 「いってらっしゃい」

 「ただいま」

 「いただきます」

 「ごちそうさま」

 

 日々の暮らしの豊かさが宿り、言霊が生き生きと息づく言葉たち。優しさに満ちた、これらの挨拶のことばが、もっともっと、日本の大地に降り注いで欲しいと思います。

 あたりまえの挨拶のことばは、「祈り」であり、「ここに生きているよ」という存在証明ではないでしょうか。

 交わし合う挨拶のそばには、いつも、とびきりの笑顔があるはずです。

 

 「おはよう」

 「こんにちは」

 「ありがとう」

 「おやすみなさい」

 「いってらっしゃい」

 「ただいま」

 「いただきます」

 「ごちそうさま」

2010年6月 9日 (水)

花の声

 『アンデルセン童話集2』(大畑末吉訳 岩波書店)の「天使」というお話。

 よい子が死ぬと、神様の天使がおりてきて、白い翼を広げ、その子が好きだった場所へ飛んでいき、いっぱいの花を摘んで、神様のところへ持っていく。すると、花は、よりきれいな花を咲かせ、神様は、その中で一番お気に召した花にキスをする。キスされた花は、声が出るようになって、大きな祝福の歌をうたうようになる、という。

 神様の口づけで歌うようになる花のイメージ。美しく、清潔なエロティシズムを感じる。

 愛でられた花は、どんな声で歌うのだろう?

 神泉薫の「聲」の会は、もうすぐ。

2010年5月24日 (月)

ナザレの少年

  末盛千枝子著『人生に大切なことは すべて絵本から教わった』(現代企画社)の「クリスマスの絵本 贈り物について」の章を読んでいて、長崎の二十六聖人殉教者記念像を作成した、舟越保武が、末盛の父であることを、はじめて知った。

 長崎の二十六聖人殉教については、中村恵美筆名での詩集『十字路』を書く際に、資料をたくさんひもといた。気高く聳える像の瞳の中に、歴史の制約や、人間の尊厳への希求、といった、根源的テーマが集約されているように思う。

 新しい読書の中に、過去の読書の記憶が呼び覚まされ、響き合う瞬間は、とても好きだ。人も言葉も、出会うものはすべて、縁があり、意味があり、つながっている、ということを確かめられるから。

 求める、言葉の海は、どこまでも広がり、光や、風や、優しさをともなって、また、心の奥深くへと、届いていく。

 

2010年5月 4日 (火)

仲間はずれ

 幼児教室で教えていたときのこと、いろいろな絵を見ながら、仲間はずれを探す。様々な物や生き物の特徴をお話しながら、身近な物へのまなざしを豊かにしていく。

 でも、「仲間はずれをさがしてごらん」。この何でもないように思える問いかけが、とても難しい。「仲間」は、仲良しのこと、じゃあ、「はずれ」って? それも「仲間はずれ」って? 仲良しのこと、仲良しではないこと、が一緒になったことば。「仲間はずれ」。言葉は、不思議な響きで、こどもの心に?を生む。

 何度問いかけても、ひとつ、ひとつ、の絵を、楽しそうに指さしする子供がいる。サクランボ、りんご、ぶどう、大好き、トンボ、スイカ……。今は、「仲間はずれ」なんて、なくてもいいな、と思う。でも、いずれ、気づくときがくる。「「同じ仲間」「ちがう仲間」を見つめる目は、まわりまわって人間をとらえなおす目を鍛えていくのでは?『絵本はともだち』中村柾子著 福音館書店」中村氏の言葉に深くうなずく。

 自分と他者を、外側から見つめるまなざしは、ゆっくりと、心の成長とともに、ひろやかに豊かに伸び広がっていく。

 「仲間はずれ」。ちょっぴり、切なくなることば。でも、「違う」ことを、知っていくことはもっと、素敵なことだ。みな違う、けれど、在るものは、みな同じ、地球の友達なのだから。

2010年3月12日 (金)

こどものまわりで

 絵本を書いてみたい、と、少しずつことばにしている。

 ことばにすべてを託して書き続けてきた詩と、ことばのベクトルや軌道は異なり、余白や色や絵をイメージしながら、世界を作り出す喜びを感じている。

 絵本のあたたかさ。ことばと絵と本の手触り、その周りには、お母さんや子供たちがいて、人の輪がつながっていく。

 リズムやことぱの響きが美しく、あいさつが大切に使われるような、あたたかい世界を紡いでみたい。

 子供たちのこころが、やさしく力強いことばの世界で見守られるように。

2010年1月22日 (金)

よあけのしずけさ

 表紙をめくった瞬間、引き込まれる絵本に出会った。

 『よあけ』ユリー・シュルヴィッツ作・画 瀬田貞二訳。

 森の湖畔、夜明けのしずけさを、そっとそっと破るように、生き物たちが目覚める。こうもりやカエル、鳥が、動き出す。そのほとりに住むおじいさんとまごが目覚め、火を炊き、みずうみへとボートを漕ぎだす。ひろやかなみずうみに朝日がのぼり、生き生きとした森の緑が、光り輝くみずうみへと映し出される。

 「おともなく、」と始まる、この絵本の静謐なただ住まい。

ほんのわずかなことばに、濃密に宿る詩情のきらめきに心ひかれた。

 つきが いわにてり、ときに このはをきらめかす

 やまが くろぐろと しずもる

翻訳の瀬田貞二の手腕でもあるのだろう。また、この絵本のモチーフは、唐の詩人柳宗元の詩「漁翁」によっているとある。

静から動へ。眠りから目覚めへと、世界が動いていくほんの一瞬の気高さと尊さが、この一冊に包みこまれている気がした。

美しい絵とことばとともに、清澄な光が心へと射しこんでくる。

森のあの澄みきった大気を、今、思い切り吸った気分だ。