日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 | 31 |
ここ数年、リビングの一角にパソコン机を置いて執筆している。
娘が赤ちゃんの時は、戸棚の中。眠ったすきに音をたてないように開いて、そっとしまったものだ。幼児期は、いたずらをするので、なおさら外に出しておくことができなかった。
ことばで「ダメ」を聞き分けてくれるようになって、初めてパソコン机を置くようになったが、やはり、扉の閉まる部屋で、詩を紡ぎたいと思った。
けれど、狭い住宅事情、部屋数は限られているので…。二階の一部屋に娘の机と本棚がおいてある一角を工房にしようと決めた。家具で間仕切りし、少しずつ整えていこうと思う。
カーテンを変えて、ランプを置いて、好きな香りのアロマを焚いて。
本に囲まれていると落ち着く。
自分の空間を持たなければ書けない。当たり前のことだが、生活に侵食される心に気付きながらも、どうにもならず、もがいていた時期もある。
生み出される詩が待っている気がして、産小屋が欲しくなったのだ。
谷川健一『日本の神々』(岩波新書)に、産小屋の記述がある。敦賀市の西側にある立石半島の西浦七郷と呼ばれる集落に使われなくなった産小屋が残っていたという。
四畳半ほどの産室には、天井から垂れ下がった力綱がそのまま残されていた。と。
小さな工房の天井にも、見えない力綱が要るだろう。
天から降りてくるポエジーを身に受けて、産み落とさなければならない。
力強い力綱を、螺旋形に立ち上っていく光を夢見る。