第27回 天童大人 聲ノ奉納 in 和多都美神社に参加。
人は、新たな転換を迎える瞬間、肉体も心も、しばしとうめいな時間の中に置かれるようだ。
2016年6月5日 14:41。新月。
第27回 天童大人 聲ノ奉納 in 和多都美神社に参加した。
肉聲の復権を求めたProjet La Voix des
Poètes(詩人の聲)のプロデューサー、天童大人さんが、27年前から行っている、長崎県対馬、和多都美神社における、聲ノ奉納。
海中にそびえ立つ鳥居が、引き潮で姿を現した瞬間、約230メートル離れた本殿へ向かって、聲を放つ。
ここに、確かな「聲の道」があるのだ。
2007年1月に詩人の聲に参加して、丸9年、10年目に入り、参加回数50回を迎えた節目に、導かれる思いがして、対馬の地へ降り立った。
古の土地に宿る精霊たちの中に身を置いて、聲を放った時、来るべくしてここにたどり着き、そして、ここから新たに始まる表現の道が、確かに在ることを確信した。
緑深い山々に反響する聲は、自己を超えた、祈りの姿だったのかもしれない。
前日、4日に、福岡入りし、宗像神社、5日、和多都美神社、その後、海神神社、翌日、6日、熊本、幣立神宮、宮崎、高千穂神社、荒立神社、7日、大御神社。それぞれの場に宿る神々の清らかな息吹きに、身も心も包まれる思いがした。
日本という国に息づく、八百万の神々の膝元に詣でる旅。ただただ、深く頭を垂れて、自分という小さな存在と、世界の広ごりについて、思いを巡らせる、静謐な時間であった。
豊かな実りということばでは表しきれない体験、今この瞬間から、今ここに在る命と、人々を温かく、時に厳しく見守る神々への敬意をこめて、詩の創造に励みたい。
祭主、天童大人さん、ありがとうございました。そして、ここへ導いてくださったすべての人々に、見えざる存在に深く深く感謝いたします。
海の中に立つ鳥居、和多都美神社。
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