「所有」という感覚を問い直す
新しい年を迎えた。清々しい朝日を見つめながら、月並みながら新年の抱負を考える。
2014年の大晦日の明け方、ある夢を見た。自然災害が予想される、赤と黒で彩られた映像。
日本列島を震撼させるだろうその映像は、覚束ない夢ながら一つのリアリティをもって私の胸に迫ってきた。
その日から、「所有」という感覚にまなざしが向くようになった。人類は、所有すること、そのものに限界がきているのではないかと。
身の回りにあるあらゆる物。それは、自分のものでありながら、本来は、宇宙から一時的に与えられた、仮の所有物ではなかろうか。
この肉体も、人の世を旅する魂の入れ物。数十年の間、借りているだけ。いつか、天へと返す日が訪れる。
物を買う、そのことで得られるひと時の豊かさや、経済性のみ追及していては、心は貧しく、枯れていくばかりだ。
何が真の豊かさなのか、物の重力から解放されて、もっと軽やかな肉体と精神をもって歩ん
でみたいと思う。
去年の抱負は、体系的な読書。こちらは、ほぼ達成でき、豊かな実りをもたらしてくれた。こちらは引き続き、今年も目標をもって進めたい。
今年の目標は、身軽になること。心の側には、柔軟な力強さを積み重ねていくこと。他者の意見に振り回されず、己の信念に沿って行動すること。
ただ、本の物質性にだけは、負けて、どんどん増えていくのだが、本は心の食料なので目をつぶることにする。しかしながら、自らの内面に書き込んだら、手放すことも覚えよう。
さて、新しい目標を掲げたら、あとはひたむきに進むのみ。
開かれた明日の余白を充実したものにするために。
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