細田傳造氏『谷間の百合』(書肆山田)出版記念会
秋の光がまぶしい朝です。
30日、行われた詩人の、細田傳造さんの『谷間の百合』(書肆山田)出版記念会は、とても、温かい時間の流れる、良い会でした。
日本の詩の世界に、新たな風を呼び起こした詩と詩人を、純粋に寿ぐ、穏やかな時間は、外の台風のざわめきとは裏腹に、この上なく優しいものでした。
五月の風にひとはやさしい
なぜ? 「五月の風」
今、会場に流れていた様々な会話を思い起こすと、ふいに、細田さんの詩の声が、心に響いてくるのです。多くの読み手が、細田さんの詩に触れ、豊かなことばのうねりが、現在という時間を彩ったこと。人間と人間が、「ことば」でつながりあう、原初的な時間が、流れていたのだと、改めて感じるのです。
表面的な、ファッションではないことばが、温かな「血」の流れる時間が、刻まれてあったのです。
『谷間の百合』が抱えた詩神の風にさらわれたかのように、謎めいて、魅力的な時空にひととき、酔わされたのです。
会場を出ると、うねる風が天上へとかけ昇ってゆきました。
ひとときの夢のように。
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