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2011年5月27日 (金)

なぜ?

 福島第一原発20キロ圏内の牛たちが、無惨に餓死しなければならないのは、なぜ?

 弔いに訪れる防護服の人々の手に、持ち帰るものが一つもないのは、なぜ?

 慣れ親しんだ家の温もりから引き離されなければばらないのは、なぜ?

 海水注入問題、真実が振り子のように揺らぐのは、なぜ?

 放射線データがばらつくのは、なぜ?

 収束が見えないのは、なぜ?

 何もかも失ったという「ことば」さえも発せずに、命が失われたのは、なぜ?

 トマトやかりん糖が好きだった、愛する人の姿が見えないのは、なぜ?

 台風、水の匂いがこんなにも恐ろしいのは、なぜ?

 震える大地がこんなにも無慈悲なのは、なぜ?

 太陽や、風の優しさがこんなにも愛おしいのは、なぜ?

 笑う子供たちの頬がこんなにも輝いているのは、なぜ?

 わたしたちが、ここにいるのは、なぜ?

 生きているのは、なぜ?

 死んでいないのは、なぜ?

 いや、もう死へ向かって歩んでいる。

 背後に、眼の前に、死がすり寄ってくるのは、なぜ?

 空は何にも言わないのは、なぜ?

 日本の姿が、今、見えないのは、なぜ?

 

 

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