母の記憶
母の記憶。というものは、色濃くその人間の心の奥底に刻まれているものだ。
田舎の母の、母の記憶、私にとっては祖母の姿を、母はノートに書き記したという。
幼いころ、家の手伝いをすると、お駄賃を5円くれたそうだ。そのお駄賃で、駄菓子や、文房具を買った。その楽しさ。
優しい人だった、母の手から渡される5円玉は、温かい温もりに満ちていて。
昔話の教訓を人生の荒波に溶け込ませ、母を導いた祖母の記憶を聞く時、優しい日だまりに抱かれるようだ。
私の記憶の中の祖母は、質素な着物に身を包んで、いつも穏やか微笑んでいた。
祖母が他界したとき、静かに眠る人の頬を「まだ温かい気がするのよ」と、泣きながらなでさすっていた母の背を、私は幼い手で、懸命にさすり、深い悲しみから守ろうとしていた。
思い出を詩につづる、母の声を聞きながら、「ああ、今、母をおばあさんが、守っているんだな」と感じた。
今日は、氏神様に今年の目標を改めて誓ってきた。
神々しい陽が鳥居に差し込んでいた。
母よ、今日も、どうか、笑顔で!!!
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