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« 光の色 | トップページ | 銀の舞台 »

2010年1月22日 (金)

よあけのしずけさ

 表紙をめくった瞬間、引き込まれる絵本に出会った。

 『よあけ』ユリー・シュルヴィッツ作・画 瀬田貞二訳。

 森の湖畔、夜明けのしずけさを、そっとそっと破るように、生き物たちが目覚める。こうもりやカエル、鳥が、動き出す。そのほとりに住むおじいさんとまごが目覚め、火を炊き、みずうみへとボートを漕ぎだす。ひろやかなみずうみに朝日がのぼり、生き生きとした森の緑が、光り輝くみずうみへと映し出される。

 「おともなく、」と始まる、この絵本の静謐なただ住まい。

ほんのわずかなことばに、濃密に宿る詩情のきらめきに心ひかれた。

 つきが いわにてり、ときに このはをきらめかす

 やまが くろぐろと しずもる

翻訳の瀬田貞二の手腕でもあるのだろう。また、この絵本のモチーフは、唐の詩人柳宗元の詩「漁翁」によっているとある。

静から動へ。眠りから目覚めへと、世界が動いていくほんの一瞬の気高さと尊さが、この一冊に包みこまれている気がした。

美しい絵とことばとともに、清澄な光が心へと射しこんでくる。

森のあの澄みきった大気を、今、思い切り吸った気分だ。

 

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